遠赤外線ヒーター、セラミックファンヒーター、オイルヒーターなど、一言で「ヒーター」と言っても色々な種類があり、その違いは、なかなか分かりづらいものですよね。検索してみても、一部しか書いていなかったり、なかなか分かりやすく比較された記事は少ないのではないでしょうか
そこで今回は、その「ヒーターの種類と違い」の「総まとめ版」として、ヒーターについて徹底解剖してみました。なお、時間のない方は5章のまとめ表だけご確認ください。
1. ヒーターの全体マップ
まず、ヒーターは大きく3つの方式に分かれます。「ファンヒーター」「遠赤外線ヒーター」「オイルヒーター/パネルヒーター」の3つです。そして、それぞれの中でも細かく種類が分かれています。全体を図にすると下記の通りです。
この大きな3つの方式の違いは、「どうやって部屋を暖めるか」のやり方の違いから発生しており、各方式によって、”暖まるスピード”や”暖まる範囲”、”消費電力”などが異なってきます。次章移行で、その違いを見ていきましょう。
2. ファンヒーターとは
ファンヒーターとは「温風を送ることで部屋を暖める」ヒーターのことを指します。”温風を送る”という点ではエアコンとイメージが近いとも言えますね。
ファンヒーターの良い点としては「空間全体を暖めることが出来る」、「持ち運び可能」、「(エアコンに比べて)本体価格が安い」という点です。エアコンと比較すると手軽に使うことができる点が優れていると言えます。
一方で、デメリットは「一部のファンヒーターは灯油やガスがないと動かない」と使用が面倒なこと、「電気だけで動くモデルはエアコンに比べるとパワーが弱い(狭い部屋でしか使えない)」という点です。エアコンと同じで、「空気が乾燥しやすい」という点も難点ですね。
ファンヒーターには「セラミックファンヒーター」「石油ファンヒーター」「ガスファンヒーター」の3種類があります。それぞれを比較してみましょう。
2-a. セラミックファンヒーター
「電気だけ」で動くファンヒーターです。他の2種類は石油を調達したり、ガス管を設置したりと準備が大変ですが、セラミックファンヒーターはコンセントさえあれば「圧倒的に手軽に」導入することが可能です。他の2種類と比較するとパワーが弱いので狭い部屋などでしか使えませんが、導入が手軽というのは大きな魅力になっています。寒冷地でない限り、新たな導入はセラミックファンヒーターを選択するご家庭が多いのではないでしょうか。(参考:「【決定版】セラミックファンヒーターの電気代って?」)
2-b. 石油ファンヒーター
「石油と少量の電気」で動くファンヒーターです。主なメリットは「他の2種類よりもコストが安いこと」「パワーが強いこと」にあります。ただし、「温風が出るまでに少し時間がかかる」のと、「石油を調達するのが大変」という大きなデメリットがあります。また、「空気が汚れやすく換気」が必要という一面もあります。(参考:「石油ファンヒーターの電気代と灯油代っていくら?」)
2-c. ガスファンヒーター
「ガスと少量の電気」で動くファンヒーターです。こちらは「(都市ガス契約の場合)比較的コストが安く」「すぐに暖まる」というメリットがあります。一方で、ガス管を設置し、ヒーターとチューブで接続しないといけないため、設置や管理が大変なようです。
3. 遠赤外線ヒーター(電気ストーブ)とは
遠赤外線ヒーターとは「発熱体を利用した」ヒーターのことで、スイッチを入れると赤くなるヒーターが、この遠赤外線ヒーターです。一般的に「電気ストーブ」というと、この遠赤外線ヒーターを指すことが多いと言えます。他のヒーターとは異なり部屋全体を暖めるのではなく、ピンポイントで「ヒーターに当たった人を暖める」という点が特徴的です。夏でいうと、扇風機に近いイメージでしょうか。
遠赤外線ヒーターのメリットは「暖まるスピードが速く」「本体価格が安い」という点で、デメリットは「暖まる範囲が狭い」という点になります。また、もし誤って赤く熱されている部分に触れてしまうと”やけど”してしまいますので、お子さんがいるご家庭では注意が必要になります。
遠赤外線ヒーターは、暖かさの元となる”発熱体”の違いによって、種類が分かれており、「熱効率性」や「遠赤外線の放出量(暖かさ)」も異なってきます。それぞれを、遠赤外線の放出量が少ない順に紹介していきます。
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3-a. ニクロム線電気ストーブ
最もシンプルな遠赤外線ヒーターで、発熱体には「石英ガラスの間にニクロム線コイルいれたもの」という方式を用いています。大きなメリットは、単純な作りゆえの「本体価格の安さ」にあります。一方でデメリットは、他の種類に比べると遠赤外線の放出量が少なく、パワーが弱い点にあります。
3-b. ハロゲンヒーター
発熱体に「ハロゲンランプ」を用いた電気ヒーターを言います。人体に吸収されにくい”近赤外線”を多く放出するため、暖かさを感じにくいといわれています。ハロゲンヒーターの上位機種がカーボンヒーターになり、カーボンヒーターが普及するにつれ、徐々に出荷台数が少なくなっているそうです。(参考:「ハロゲンヒーターの特徴と電気代を徹底調査!」)
3-c. カーボンヒーター
発熱体に「炭素化合物」を用いた電気ヒーターを言います。よく、「ハロゲンヒーターよりも遠赤外線放射量が2倍ある」という説明がなされ、ハロゲンヒーターの上位機種として紹介されます。さらにカーボンヒーターの上位機種として、発熱体に「黒鉛」を使用したグラファイトヒーターがあります。(参考:「カーボンヒーターの特徴と電気代を徹底調査!」)
3-d. シーズヒーター
発熱体に「絶縁体で包んだニクロム線を金属製のパイプの中にいれたもの」を用いています。電気ストーブの中で最も赤外線の放出量が多い、と言われています。一方で、デメリットとしては他の遠赤外線ヒーターと比較すると、暖まるのに時間が掛かること(5分程度)。メーカーによって、様々な呼び方があり、セラムヒーター(ダイキン社) / コアヒート(コロナ社) / メタルヒーター(モリタ社) /ステンレスヒーター(サンヨー社)とも言われます。(参考:「シーズヒーターの電気代っていくら?」)
4. オイルヒーター/パネルヒーターとは
オイルヒーターやパネルヒーターは少し特殊な温め方をします。まず、機器自体を高温にし、機器からの放熱で空気の対流を起こして時間をかけて空間全体を暖める、という手法をとっています。分かりづらい方は、機器自体の熱で空間全体をゆっくり暖かくする、というイメージを持っていただければ良いかと思います。
メリットとしては、強い温風を出さないので「乾燥を避けることができる」、「空気の入れ替えがいらない」、「ほこりが立ちにくいので、アレルギーの人にオススメ」などの”優しさ”にあると言われている。
一方で、デメリットは「暖かくなるのに時間がかかる(+大きな部屋だとそこまで暖かくならない)」「消費電力も高いので電気代が高くなる」という2点です。特に、断熱性が低い家には向かない、と言えるでしょう。
4-a. オイルヒーター
機器の中にある「オイル」を電気で温めて機器内を循環させ、放熱を行うヒーター。電源を切ってからも、余熱で暖かい時間が長いのが特徴です。(参考:【徹底比較】オイルヒーターの電気代のまとめ)
4-b. パネルヒーター
電気ヒーターをパネルでおおったもので、表面は熱くならずに、機器の放熱で部屋全体を暖める効果があります。中に電気ヒーターをしようしているので、比較的、速暖性があるのも特徴です。 (参考:「」知ってた!?パネルヒーターの電気代と節約術!)
5. 各ヒーターの特徴を比較
最後に、各ヒーターの3つの方式の特徴をまとめてみます。ちなみに、どのヒーターも1時間あたりの電気代に大きな差はありません(最大出力で比較した場合)。月々の電気代の差は、「どれくらいの時間を使用するか」が大きな要因になります。
ファンヒーター | 遠赤外線ヒーター | オイルヒーター パネルヒーター | |
速暖性 | △ | ○ | × |
暖め範囲 | △ or ○ | × | △ |
本体価格 | 0.5万〜2万 | 0.5万〜2万 | 2万〜5万 |
月々の電気代 目安※ | 10,00円〜 10,000円 | 200円〜 2,000円 | 5,000円〜 25,000円 |
非乾燥 | × | × | ○ |
安全性 | ○ | △ | ○ |
※ 「月々の電気代の目安」は使い方によって大きく異なります。あくまで参考値としてください。詳細は次の記事あたりをご覧ください。「セラミックファンヒーターの電気代まとめ」「カーボンヒーターの電気代まとめ」「オイルヒーターの電気代まとめ」
エアコンを買うほどじゃないけど、手軽に(狭めの)部屋を暖める機器が欲しい方は「ファンヒーター」。エアコンはあるので、扇風機のように手軽に使える暖房機器が欲しい方は「遠赤外線ヒーター(ファンヒーターでも可)」。そこまで暖かくならなくても良いので空気を乾燥させたくないご家庭は「オイルヒーター/パネルヒーター」、を検討されると良いかもしれません。
それぞれの方式の中での特徴や、暖かさの好き嫌いもありますので、この記事なども参考に、ご家庭にあったヒーターを選べると良いですね。
6.まとめ
- ヒーターは大きく「ファンヒーター」「遠赤外線ヒーター(電気ストーブ)」「オイルヒーター/パネルヒーター」に分かれる
- 月々の電気代や、それぞれのメリット、デメリットは5章の表の通り